一般企業で働く弁理士は、全弁理士のうちどの程度の割合かご存知でしょうか?日本弁理士会の統計によると、全弁理士の人数は11,110人でそのうち企業で働く弁理士は2,408人と全体の約22%となっています(2016年)。弁理士といえば、やはり特許事務所や法律事務所に所属することが一般的なイメージかと思いますが、意外と企業で働く弁理士も多いようです。弁理士として働くとき、特許事務所ではなく企業で働くことを選ぶ理由や魅力をご紹介しましょう。

企業で働く弁理士の会社組織における扱われ方

一般企業で働く場合、弁理士だからといって業務上特別扱いされることはありません。一部の企業では資格手当が支給される場合もあるようですが、原則、他の一般社員と同じ待遇や労働条件です。

 仕事の内容も知財部門の他のメンバーと同じです。しかしながら、会社から期待されるアウトプットのレベルは他のメンバーよりも高いと考えられます。弁理士は、国家試験に合格した知的財産のプロですし、会社からの期待度が高くなるのは当然ではないでしょうか。

企業で働く理由

なぜ、弁理士なのに特許事務所ではなく企業で働くのでしょうか。特許事務所で働く方が、出願件数や拒絶理由通知の対応の件数はケタ違いに多く、経験もスキルも積みやすいのは明確です。それでも、企業で働くのはなぜでしょう?

 理由は様々あると思いますが、主な理由に「事業における知的財産の活用に携われる」ことが挙げられるのではないでしょうか。

 特許事務所で弁理士として働くと、クライアントから事業情報や出願内容の説明を受けますが、企業でどのようなことが検討されて知財が活用されているのかは見えないことが多いです。

 しかし、弁理士として企業として働くと、当事者として知財を活用する立場になるので、どのように発明が発掘され、権利化され、活用していくのかを目の前で見ることができますし、実際、自分で戦略を練って知財を活用しなければなりません。事業における知財の役割を肌で感じることができますね。

 また、転職するにあたり重要な要因として、職場環境や労働条件があると思います。特許事務所で弁理士として働く場合、多くの特許事務所では仕事をした分だけ給与が支払われることが多く、就業時間という概念がないところも多いです。働き方の自由度は企業より特許事務所の方が格段に高いのが現実です。しかしながら、特許事務所は自由な職場環境であるゆえに、収入が業務量に依存することが多く、まさに実力社会ともいえます。

 一方、企業で弁理士として働く場合、就業条件は他の社員と同じですので、特許事務所に比べ働き方の自由度が低くなります。しかしながら、知財部門がある企業は比較的大きな組織体の企業になりますので、企業としての安定性は高いと考えられます。組織の安定性も企業で働く理由の一つに挙げられると思います。 

 企業で働くことの魅力

昨今、企業で働く弁理士の数は増えてきたと言われていますが、上記のように企業で働く弁理士の人数は全国で2000人強ほどですし、知的財産部門における弁理士の人数はまだまだ少ないのが現状です。 

 弁理士だからといって他の社員と仕事が異なるわけではありませんが、頼られることや相談されることは他の社員より多くなりますので、その分、会社からの評価が高くなると思います。 

 また、昇格や昇給しやすいのも事実だと思います。会社は他の社員と平等に評価しますが、超難関の弁理士試験を合格できる実力があるのですから、他の社員よりアウトプットの質が高くなるため、必然的に昇格しやすいのではないでしょうか。

 企業で働くことが向いている弁理士の特性

企業で弁理士として働く場合、明細書のチェックや拒絶理由通知をうまく交わすテクニックも評価されますが、そのような日々の業務だけでなく、新しい取組みを提案したり、他部署と連携した行動をとると評価が高くなることが多いようです。つまり、今までの知財部門になかった行動や他の部署を巻き込むような行動をとると評価を得やすい、といえます。

このような新しい取組みをするためには、日ごろから同業種や異業種の交流会に出席し情報を収集したり、知財部門だけでなく他部署とのコミュニケーションに重きを置く、といった努力が必要になります。もちろん、知財業務のスキルアップや語学の取組みも必要になってくると思います。このよう行動派であり、かつコミュニケーション能力に優れた弁理士は、企業において大活躍できると思います。

 さいごに

企業で弁理士として働く場合、他の社員と同様に、いわゆる雑用も多く、特許事務所では事務所員さんが担当してくれるようなことも一人でしなければなりません。また、企業では就業規則という厳しい縛りもありますし、資格を取ったからといって特別扱いされることはありません。

しかしながら、企業で働く最大の魅力は、事業そのものに接しながら知財業務に携われることだと思います。また、弁理士資格を持っていると昇格に有利になる場合もあります。

特許事務所で働くか、企業で働くか、は悩ましい選択ですが、重要なのはどのような組織で働くか、ではなく、どのように自分が働きたいか、を明確にすることではないでしょうか。


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