企業の知財部で訴訟業務ってあるの?

そもそも、企業で訴訟そのものがあるの?訴訟業務に携わるチャンスってあるの?という疑問をお持ちの方も多いと思います。知財部門で訴訟といえばまず特許侵害を思い浮かべると思いますが、その件数は他の知的財産権の訴訟を入れても、年間200-300件程度です(知的財産高等裁判所 統計ホームページより)。

日本全国でこの件数ですから、大変少ないですね。また、業種によって訴訟が多い分野とそうでない分野があるので、所属する会社の業種によっても訴訟業務に携われるかどうかが変わってきます。

しかし、上記の件数は、あくまで日本でのお話。

近年は市場が外国に移っている分野が多いので、主戦場は外国、となってきている企業が多くなってきました。

外国の企業は、提訴することが日常茶飯事なので、競合会社が外国企業であれば、必然的に訴訟に携わる機会は多くなります。また、アジアを中心に特許侵害品や模倣品が多く出回っているのも事実です。そのような侵害者に対して提訴することも多くなってきています。

 知的財産の訴訟業務での知財部門の役割

企業における訴訟業務ってどのようなものがあるのでしょうか?

どのような組織体系か、外資系かどうか、によっても異なりますが、法務部門と知財部門が連携して知財訴訟に立ち向かう場合もあれば、知財部門が単独で知財訴訟に対応する場合もあります。訴訟実務のノウハウは他の記事にお任せするとして、知財部門の人間として、訴訟業務で忘れてはならない最も重要なお仕事があります。それは「社内調整」です。

事案が訴訟に発展すれば、当然、対外的に係争事実を発表する事態に至ることも想定されます。したがって、早期に経営陣と実務担当者との間で会話が始まります。 

この会話で、いかに経営陣にわかりやすく係争内容を説明できるか、が知財部門の力量であり、知財部門がいかに重要な部門であるかをアピールできるチャンスでもあります。知的財産に関する訴訟は、技術的側面と法的側面の両方の性質を併せ持つので、専門用語を使わずに経営陣に説明をすることは、思っているほど簡単なことではありません。この困難なミッションを遂行できるかどうかは、知財部門がいかに事案を理解しているか、に関わってきます。

やりがいを感じるときはこんなとき 

知財部門の役割は、上記のように訴訟内容の検討とともに社内調整が中心となります。また、社外の法律事務所や特許事務所との連携も必要になってくるでしょう。言わば、会社と社外パートナーの受け渡しをすることも多くなるわけです。

このとき、受け渡しがうまくできなければ、勝てる訴訟も勝てません。逆に言えば、訴訟内容の検討時は負ける確率が高くても、会社と外部パートナーが一体になって取り組めば勝てる確率も高くなるのが訴訟の面白さです。勝訴したときは当然、やりがいを感じますが、訴訟手続の過程でスムーズに検討が進むとき、知財部門の役割の重要さを実感でき、やりがいを感じることができるでしょう。

 資格があると安心、特定侵害訴訟代理付記

企業の知財部門の立場で訴訟業務を行うのであれば、弁理士の資格、さらに特定侵害訴訟代理の付記登録については不問です。しかしながら、訴訟業務を進める上では、弁理士や付記弁理士の登録があったほうが、会社や外部パートナーからの信頼も厚くなると思います。体系的に知識を習得していることの証になるからです。 

企業に所属する弁理士において、あまり付記弁理士を見かけることはありません。理由は、付記弁理士に登録しても、企業の知財部門に所属するなら訴訟代理人として仕事をすることはないからだと思います。付記弁理士であるからといって、訴訟業務に携われるわけではありませんが、しかしながら、特定侵害訴訟代理付記の試験に合格していれば、訴訟事案が生じたときに自信をもって業務に取り組めると思います。

 さいごに

近年のグローバル化により知財を取り巻く係争環境は激しくなってきているのが現実です。係争があまりない業種の企業であっても、外国の企業から突如、提訴される可能性があります。提訴する場合は予測可能ですが、提訴される側になった場合は、ある日突然、訴訟業務が発生します。このような突発的な事態を「キャリアアップのチャンスが来た!」とポジティブに受け止められるよう、日々スキルアップをしておきたいものですね。


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