クライアントの要望に、どう答えるか

クライアントからの要望に悩まされるというのは、どの業界でもあることだと思います。この知財業界では、下記のようなことがあるようですね。業界経験者にその経験談を伺ってみました。

皆様のご参考になれば幸いです。

良い特許とは?

さて、良い特許の条件は以下の2つに集約できると思います。

 (1)自社商品の模倣を抑止できる

 (2)他社にライセンス供与できる

一方、特許出願が特許として認められるためには、以下を満たす必要があります。

 (a) 新規性(特許法29条1項)があり、進歩性(29条2項)があること

 (b) 出願書類が記載要件(36条4項、6項)を満たしていること

特許事務所に入所、又は企業の知財部に配属されると、基礎的な知財教育を受け、(a)(b)について勉強していくことになります。

ただ、現実にはこの様なこともあるようです。。

 ・事業戦略上、非常に重要な発明であるにもかかわらず、(a)の点で疑義があるため、特許出願を許可しない企業知財の担当者

 ・(b)のような36条違反の拒絶理由を受けることは弁理士として恥だ、ということで、権利範囲の広い請求項を書くことを拒む特許事務所の担当者

その結果、拒絶理由を受けず、特許査定になったものの、自社事業をカバーせず、他社にライセンス供与することもできない、狭い権利範囲の特許が多数成立している。ということもあるようです。

あなたなら、どうしますか?

(自社特許出願の)実施例ではイ号品(他社製品)と違うのだけど、特許請求の範囲はイ号品をカバーしている。

つまり、自社製品の類似品(同一品ではない)をカバーする特許。

企業の知財担当者としては、このような特許が取れれば最高でしょう。自社事業を保護すると同時に他社にもライセンス許与できる訳ですから。

しかし、このような特許出願は往々にして36条違反の拒絶理由を受ける危険性があります。なぜなら、特許法36条6項1号では、以下のように規定されているからです。

 特許請求の範囲の記載は、次の各号に適合するものでなければならない。

  一 、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであること。

つまり、実施例の内容に対し、特許請求の範囲が著しく広い場合、36条違反の拒絶理由を受ける可能性がある訳です。

特許事務所としては、36条違反の拒絶理由を受けると、明細書の品質に問題があるのではないか、というイメージを持たれてしまいます。できれば避けたい、というのが本音だと思います。

では、もしあなたが特許事務所の弁理士の立場で、クライアントから、明細書の実施例に対して、著しく広い請求項を書いてくれ、と言われたとしましょう。

この場合、例えば、以下の対応方法が考えられます。(他にもあるかもしれません)

 ① 自らの弁理士としての品格、クオリティを保つために、(仮に、そのクライアントから二度と出願依頼を受けることができなくなったとしても)頑として断る。

 ② クライアントの要求を断ると、今後仕事を頂けなくなる可能性があるため要求を呑む。

 少々悩ましいところかもしれません。

こういう場合、上司の指示に従うのか、自分の考えで進めるのか。その他色々なことが頭をよぎるところなのでしょう。

ただ、こんな時こそ、あれこれ方法を検討するのも弁理士としての醍醐味かもしれませんね。

この知財業界に限らず、クライアントからの無理な要望にどう応えるか、悩ましいことは多々あるものです。

さて、皆さんは、どう対応されてますか・・・?

 


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