さて、今回は、業界経験者から今後特許事務所に弁理士(又は弁理士志望者)として入所される方へのアドバイスを伺ってみました。

まず、求められることとは?

知財業界を志した動機は様々だと思います。

(1) 学生の時から知財に興味があり、大学で知財を専攻、又は在学中に弁理士試験に合格された方

(2) 企業で技術者(発明者)として特許出願に関わる過程で特許に興味を持ち、知財の世界に入られた方

(3) 将来、起業や特許ビジネスを考えていて、そのために特許の知識を身に付けたいと考え、知財の世界に入られた方

(4)司法試験を目指していたが方向転換し弁理士を志すことにした法学部出身者

特許事務所では、クライアント(企業)から特許出願業務を受注し納品することで売上を得ます。従って、弁理士(又は志望者)には、高品質な特許出願書類(いわゆる明細書)を短期間で作成する能力が最も重要だと思います。

つまり、知財業界(特に特許事務所に)に新たに入られた方は、先ず、高品質な明細書を書く能力を身に付けることをまず最優先に考えるべきだと思います。

一定の実力がついた時点で、自らの志望動機に立ち返り、そして、次の道へ進む。そうあるべきだと思います。

技術の理解力は重要!

明細書を作成する為には、当然、発明の技術内容を理解する必要があります。特に、特許事務所の方は、この能力が重要だと思います。

特許出願書類を作成する際、通常、クライアント企業を訪問し、発明者と打ち合わせを行います。ここで、特許事務所の担当者の発明の理解力が高ければ打合せはスムーズに進みます。しかし、そうでない場合は、打合せが長引いたり、場合によっては発明者がイライラするケースもあります(上記(2)のタイプの方は、ご自身でも経験されたかもしれません)。

発明の理解力が高いかどうかは、正直、才能や先天的な要素もあり、改善するのは難しいという気もします。逆に、発明の理解力に乏しい方は、正直苦労されるかもしれませんが、入念に予習をしたり、発明者の話が理解できなければ理解できるまで何度も聞く等の、努力で補えると思います。最も良くないのはあいまいな理解で明細書を書くことです。これは絶対にしてはいけません。

尚、蛇足になりますが、企業の知財担当者も、通常は入社後に明細書作成のトレーニングを受けますので、自分で出願書類を作成できる人も多いです。しかし、技術内容が高度なものは特許事務所にお願いし、簡単なものは自分で書こう、という担当者が結構多いと思います。そういう意味では、技術的に高度な内容の発明が特許事務所に依頼されるケースが多い、というのが現状だと思います。

また、博士号を持っていたり、優れた研究実績を持つ技術者が知財業界に転身すると優秀な弁理士になれるか、というと一概にそうとも言えないように思います。

なぜなら、通常は、自らの技術者時代の専門分野とは微妙に違う分野を弁理士として担当するケースが殆どだからです。例えば液晶デバイスの技術者だった人が知財に転身したら、液晶デバイスの案件を担当できるか、というとそうでない場合が多いです。もちろん、バイオとか、情報系のように全く畑違いの分野を担当することはありませんが、別のデバイスの出願を担当したりするケースが殆どだと思います。

つまり、自分の専門分野とは微妙に違う分野の技術について、早期かつ正確に理解できる能力が求められるのです。逆に、自分の専門分野以外になると全く対応できない人は、知財業界では非常に苦戦しているのが現状です。(別の言い方をすれば、自分の専門分野しか担当できないとなれば、安定した売上を得るのは難しいです。その意味でも幅広い分野に対応できることが重要です)。

発明者と喧嘩をしてはいけません。

非常に当たり前の話ですが、時々、こういうことが起きます。

発明者はプロの技術者であり、弁理士は知財のプロです。専門とする領域が違いますから、本来、争いになることは無いはずです。

しかし、例えば

(1) 発明者が何度も特許出願をしていて知財業務に慣れているのに対し、特許事務所の担当者の経験が浅い場合に、発明者が高圧的な態度を取るケース

(2) 特許事務所の担当者が元々は優秀な技術者であったのに対し、発明者が若手の技術者であったため、事務所の担当者が発明内容をけなすような発言をした場合にトラブルになったりします。

(1)の場合は、発明者側に非があるのですから、冷静に対応しましょう。逆上してはいけません。

(2)の場合、心情的には分かりますが(特に知財経験が浅い場合、自分の技術者としての経験を誇示することにより、面目を保ちたくなる心情は理解できますが)、絶対にこのような発言はしてはいけません。仮に、そう思うケースがあれば、発明者ではなく、企業の知財担当者を介して伝えるようにしてください。

逆に、クライアント企業の知財担当者とは、喧嘩をしても良いとは言いませんが、知財のプロ同士として自らの考えをぶつけることは良いことだと思います。

 

と、今回はここまで。

 

次回へ続く・・・


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